プランクトンは海の食物連鎖を支える存在で、気候変動でどのように影響を受けるのか調べることは重要である。
この研究では、まず336種類の植物プランクトンと524種類の動物プランクトンについて、現在入手可能な生息数のデータに基づいて、それぞれの種の繁殖が温度、塩分濃度、リン酸濃度といった要因のうち何によって決まりやすいのかを予測するモデルを作った。そのうえでこれを、地球温暖化で予測されている気候変動に当てはめることで、これから21世紀の間にどのようにプランクトンの分布が変化するのかを予測した。
その結果、海の水温が上昇することで全体的にプランクトンの種類の多様性が増加する傾向にあることがわかった。特に植物プランクトンは北極海を除くほとんどの地域で16%近く多様性が増すのに対し、動物プランクトンは、熱帯で少し減少するものの、温帯と亜寒帯で増える傾向にある。
また、プランクトンの分布は10年で平均35kmの速度で極方向に移動すると予測しており、それによって多くの地域でかつて存在していたプランクトンの種類から入れ替わりが起きると考えられる。
Benedetti, F., Vogt, M., Elizondo, U.H. et al. Major restructuring of marine plankton assemblages under global warming. Nat Commun 12, 5226 (2021). https://doi.org/10.1038/s41467-021-25385-x