近年の環境意識の高まりにより、ソーラー発電のような自然エネルギーを使った発電へと切り替えようとする動きが高まっている。自然エネルギーによる発電としては、他に環境の振動をピエゾ素子を使うことでエネルギーに変換する、といったものや、最近では、湿気を使うことで発電する、といういくつかの方法が見つかってきている。

本研究は、湿気を用いた新しい発電手法を報告するものである。ここで開発したポリマーは湿気がくると、水素イオンのやり取りを内部でおこなうことで、表面でポテンシャルエネルギーの振動が生じる。これによって、継続的に交流電流を得ることができるのだという。

a)開発されたポリマーの構造 b) 振動の仕組み

この論文では、このポリマーが実際に発電をおこなえることの確認に加え、いくつか組み合わせた上で風呂場に設置することで、2Vほどの電圧が発生でき、それで液晶ディスプレイ(といっても、デジタル文字の一部分のみだが)を光らせる、ということも試している。

風呂場での実験。

Long, Y., He, P., Shao, Z. et al. Moisture-induced autonomous surface potential oscillations for energy harvesting. Nat Commun 12, 5287 (2021). https://doi.org/10.1038/s41467-021-25554-y