光が睡眠に影響を与えることはよく知られていて、例えば睡眠の周期(サーカディアン・リズム)の調整が光によっておこなわれる。影響は、リズムの調整にとどまらず、例えば光があたるとノンレム睡眠が増えることも見つかっている。

光が睡眠にどう影響するのか、その神経回路についての研究も進められていて、リズムの調整については網膜神経節細胞を介して視交叉上核へという神経回路が関与していることがわかっている。しかし、ノンレム睡眠への効果についてはメカニズムが知られていなかった。

本研究は、そのメカニズム(神経回路)を調べたものであり、その結果視交叉上核は関与していないが、網膜神経節細胞を介して視索前野へ向かう回路が重要であることがわかった。

手法としては、GFPという蛍光タンパクを発現するウイルスを上流の細胞に注入することで、どこにつながっているのかを調べ、さらにワイアレスのEEG(脳波計)、EMG(筋電図)を使うことでレム睡眠、ノンレム睡眠の判定をおこなっている。

網膜神経節細胞を介して視索前野へ向かう回路を活性化することでノンレム睡眠が誘発される(レム睡眠には影響がない)ことを確認

Zhang, Z., Beier, C., Weil, T. et al. The retinal ipRGC-preoptic circuit mediates the acute effect of light on sleep. Nat Commun 12, 5115 (2021). https://doi.org/10.1038/s41467-021-25378-w