結晶を作るには、ゆっくりと時間をかけて育てる必要がある。特に、共有結合による結晶は、結合が一度できてしまうと元にもどりにくいため、欠陥ができても修復されず、きれいな結晶ができにくい。そのため、高温高圧下でおこなうか、反応を遅くして時間をかけて重合させるしかない。例えば1-2ミクロンの結晶を作るには15日ほど必要だという。

本研究はこれを加速化するというものであり、材料を有機溶媒に溶かすのではなく、超臨界の二酸化炭素に溶かすことによって、0.2mmの結晶が数分でできるようになった。

a) 今回の手法の説明。sc-CO2 (超臨界状態の二酸化炭素)内で重合させると数分で結晶が作れる。
実際に作られた結晶の顕微鏡画像

超臨界流体の二酸化炭素は拡散がとても速いため、結晶に対して材料がすぐに供給され、さらに副産物がすぐに除去されるために、きれいな結晶が高速で作られるとのことである。

加速化するメカニズム。上:従来の有機溶媒内での結晶化。下:超臨界流体内での結晶化

Peng, L., Guo, Q., Song, C. et al. Ultra-fast single-crystal polymerization of large-sized covalent organic frameworks. Nat Commun 12, 5077 (2021). https://doi.org/10.1038/s41467-021-24842-x