格子模様を、角度を変えて重ねたときに生じるパターンのことをモアレという。グラフェンのような二次元の結晶を重ねるときにもモアレが生じ、これがモアレ超格子である。ずらす角度を変化することで違うパターンになり、物性も変わっていくため、Twistronics(twist + electronics)という新しい分野にまで発展している。

モアレ超格子を作るには層を一つずつ重ねていくのが普通だが、これには複雑な手法が必要とされており、ここでは直接作ることができる手法を提案している。

この手法についてよく理解できていないのですが、WS2という物質によってベルト状の構造を作ることができ、これがねじれることで各層の角度がずれてモアレ超格子ができるらしい。

a) 本研究で作成したWS2ナノ格子の顕微鏡画像。白いバーが300nmに対応。(300nmは光の波長と同じくらいなので、通常の顕微鏡では見ることができない大きさ。電子走査顕微鏡という特殊な顕微鏡を使っている。)b) WS2のナノベルト。このねじれによって超格子ができる。
a,b) 実際に作成されたもの。確かにモアレができている。

実際に作成したモアレ超格子は、優れた伝導率、超疎気性、超親水性といった性質を持つこと、そして水素生成における触媒として有用であることを確認している。

Xie, L., Wang, L., Zhao, W. et al. WS2 moiré superlattices derived from mechanical flexibility for hydrogen evolution reaction. Nat Commun 12, 5070 (2021). https://doi.org/10.1038/s41467-021-25381-1