生態系全体としてある機能を果たすことがある。例えば、受粉や種子の拡散など。これは人の生活にとっても重要な役割を保つ場合もあり、生態系サービス(ecosystem service)と呼ばれる。本研究は、この機能が生物種がどのくらい絶滅しても保たれるかについて調べたものである。

これを調べるために、ブーリアン・モデルという手法で生態系のシミュレーションをおこない、構成する生物種をランダムに絶滅させていったときに、どれだけの数を絶滅させると機能が失われるかを調べた。

ここでの生態系のモデル。生物種をランダムに絶滅させたときに機能が失われるまでの数を元にして、生態系の機能についての頑健さの指標としている。

その結果、生態系の機能の頑健さ(どれだけ生物種を絶滅させても大丈夫か)は、生物種とその役割の間のネットワーク構造の指標(ネットワークの脆さ: network fragility)と関係していることがわかった。

シミュレーションの結果(横軸:ネットワーク構造の指標、縦軸:生態系の機能の頑健さ。)ネットワークの「脆さ」が高いほど、生態系としての頑健さが低下している。

Ross, S.R.PJ., Arnoldi, JF., Loreau, M. et al. Universal scaling of robustness of ecosystem services to species loss. Nat Commun 12, 5167 (2021). https://doi.org/10.1038/s41467-021-25507-5